「魂を運ぶカバン」ジャス・センビーにとってのランドセルとは

今回の池田地球とのコラボレーションランドセルを完成させるため、会津若松へ工場見学に訪れたジャスさん。

ものづくり系女子として活動し、地球NASAランドセルPRも担当する神田沙織が工場見学後にジャスさんへインタビューを行いました。

 

―工場内では多くの手仕事と、最先端の機械によるものづくり現場をご覧になりました。いかがでしたか?

ジャスさん「ここの工場は、全体を通してとてもハーモニアスですね。調和がとれている。そんな輝かしい言葉を贈りたい。全てにシナジー、相乗効果が感じられます。そして素晴らしいエネルギーに満ちている。会津若松のこの地で磐梯山から風や水がおりてくるような、一体感があります。」

 

自然に囲まれた会津若松のランドセル製造工場

自然に囲まれた会津若松のランドセル製造工場

 

―ハーモニアスとは、素敵な表現ですね。自然と調和している、と。

「工場の中を歩いていると、様々な音や動き、そしてカラフルな素材がハーモニーのようで、子どもたちが遊んでいる姿が目に浮かぶ感覚でした。

どんな工場で、ものづくりが行われているのだろうかと、実は新幹線で移動中に、詩を書いていたのです。私は、いつも人々にひらめきを与えたいと思っています。特に、子どもたちや若い人へ言葉を贈るのは大切なことです。」

 

 

Words of inspiration, for our next generation
Words of Love , flying smoother than a Dove

Creating our future don’t know why and what for,   Living for peace and not for war.

These are the words we must treasure, carve our creativity to give the world the pleasure.

Through our inspiration see our kids smile, even though it may be only for a while.

Because soon they will start drinking barley and hop,  don’t matter what they do but we should never Stop.

 

 

「このフレーズは、子どもという存在からひらめきを得ました。教育に触れ、クリエイティブであること。そして良いものを知ること。そんな願いを込めました。また、日本のランドセルは、ただ通学鞄を買うのではない文化がありますね。6年も使い続けるというのはまるで結婚のようです。そういう意味で、ランドセルとの出会いにはパートナーと結び合うような重みがあるのかもしれません。」

 

 

―子どもにとって、学びはもちろん、遊びにも生活にも欠かせないパートナーなんですね。

「今回、「地球NASAランドセル Jas Sehmbi モデル 2019」をデザインしていますが、ただ形をいじるのではありません。ランドセルそのものには、美しい形や色があるのでそれを大切にしながら、何のために作るのか、使っている子どもたちにはどんなことが起こるのか。そうしたコンセプトから作っています。」

 

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―デザイン画のやりとりから始まったランドセルも、パーツごとに試作を重ねて形になってきています。インタビューの前に行っていたプロトタイプ(試作品)チェックでも、あくまでも見た目の出来ではなく、なぜこのようなデザインをしたのか、そうした説明を言葉を尽くして丁寧にコミュニケーションしている姿が印象的でした。

「ものづくりを共にするパートナーの存在は、とても大切です。今回のコラボレーションは、私にとっても大切なプロジェクトです。鞄のデザイナーとして数十年のキャリアがありますが、子ども向けというのは初めて。しかも、ただの鞄ではない、特別なものです。池田地球という長きに渡って日本のランドセル文化を守り続けてきたパートナーがいるからこそ、挑戦出来ると思ったのです。彼らにとっても、新しいやり方になるのでしょうが、お互いに理解し合い、コミュニケーションをとりながら丁寧に作ることができています。」

 

 

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―ロゴの配置ひとつにしても、どこに置くかという場所ではなくて意図を伝えながら確認されていましたね。

「たとえば、ロゴデザインにおいても、パターン化したり、左右対称にしたりといった仕掛けがあります。それがなぜなのか、を理解することが重要です。また同時に、そのデザインの背景を共有することが欠かせません。お互いに言葉を発して、それに耳を傾ける。人と人がお互いに尊重し合う姿勢があるからこそ、子どものために、という大きな目的に向かっていけるのです。」

 

 

―ジャスさんは、目の前にいる人にいつも敬意を払っていらっしゃると思います。工場の近くでお昼を頂いた蕎麦屋さんでも、お店に居合わせた子どもたちに話しかけていました。

「とてもシンプルで私にとっては自然なことです。子どもは大人に様々な経験をもたらされて育ちます。幼い頃に家族で出かけた蕎麦屋さんで、ちょっと不思議なインド系イギリス人のデザイナーと会話をした。たまたま私が居合わせたことで、彼らにはそんなささやかな経験が生まれ、そして私は彼らの笑顔を見るのです。人が好きだから、人と話す。お互いに心を開く瞬間は素敵です。

 

生まれたばかりの赤ちゃんは、脳全体を使ってあらゆる経験を吸収すると言います。しかし、様々な経験を学習していくと、今度は当たり前のことを疎かにしてしまうこともある。大人は、いちいち街角で人に話しかけたりはしませんね。しかし、それが良いとは思いません。子どもがやがて大人になっていく中でも、好奇心や愛情を持って人と接することを忘れなければ、いつでも誰とでも、話をすることはできるのです。」

 

工場近くの蕎麦屋さんで、小さな子どもたちに出会った。

工場近くの蕎麦屋さんで、小さな子どもたちに出会った。

 

 

「人々の交流は、もっともひらめきをもたらすものです。互いに関心を持ち、言葉を発し、声を聞く。ここでは、言語は問題にはなりません。顔を合わせてコミュニケーションをしようと心がければ、日本語と英語でも、どんな気持ちなのか感じ取ることはできます。このインタビューは英語で会話をしていますが、日本語でもいいんですよ!」

 

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―ジャスさんとお話をしていると、とてもシンプルな言葉で、尊敬と愛情をもった表現にはっとさせられます。

「私は詩を書きますから、言葉そのものというよりも響きや、何を伝えたいのかということにフォーカスしています。魂を届けるような…(はっと驚いて)ランドセルは、魂を運ぶものですね。」

 

 

―魂を運ぶ!そんな発想はありませんでした。

「子どもたちに学びや美しいもの、良いことを届け、やがてそれらを身に付けた彼らの魂を運ぶもの。日常の中のどんな瞬間にも、幸せを感じられるように。」

 

 

―贈り物としてのランドセルには、ご両親や家族のそういった願いが込められているでしょうね。

 

質問と回答

―ランドセルはfuture bag / bag for the future、未来の鞄だとこのプロジェクトの始めにおっしゃっていました。どのような意味だったのでしょう。

「私が5歳で通い始めた学校では、コットンのトートバッグのような通学鞄でした。イギリスにはランドセルがありませんから、私の母が作ってくれました。また、私が小さかった頃は、鞄の中にはノートも教科書も入っていませんでした。小さな黒板を持ち歩くのですが、授業中に書いた内容は、次の授業の前には洗って消してしまうのです。それで、とても記憶力が鍛えられました。だから、特に持ちやすくもない鞄でしたが、大切な黒板を入れて持ち歩くのには最適だと思っていました。何も書かれていないまっさらな黒板が入ったバッグには、未来が詰まっていました。子どもの未来とは、つまりは私たちにとっての未来です。だから、私たちは未来のための鞄を作っているのです。」

 

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―学校という場所は、子どもたちにとってのひとつの社会でもあり、様々な出来事に溢れています。学校生活を送る上でのパートナーとして、「地球NASAランドセル Jas Sehmbi モデル 2019」がどんな存在であってほしいと思いますか。

「子どもたちが様々な人とふれあい、学び、交流する時、このランドセルが側にいます。このランドセルの中には、アーティストやデザイナーとしての私や、池田地球や工場でものづくりをする人たちの心が詰まっています。話しかけることはできないけれど(笑)、いつも子どもたちを見守っているのです。

そして、多くの情報に囲まれ、学びも情報のインプットになりがちな側面がありますが、情報(インフォメーション)ではなく、交流(コミュニケーション)を大切にして欲しいと思います。ランドセルの内側にあしらわれた詩には、そうしたメッセージも込められています。子どもたちに語りかけるような気持ちで、このランドセルを送り出したいと思います。」

 

リンク:

JASさんとランドセル工場を見学しました。

地球NASAランドセル ジャス・センビモデル